患者友達のNさんと電話で話していたら、どういう話からか、
「わたしはとても素敵なフライパンを持っているんですよ」という話になりました。
Nさんのフライパン、上蓋と下蓋が強力な磁石で合さるようになっていて、おまけに片面の底は、波打っているのだそうです。
「ネットで見つけて、これだ!と思って買ったのですが、これが大正解。
深めなので、パスタもゆでられるし、ホットケーキを焼くと、波々のホットケーキが焼けて、とっても美味しいんですよ」
いつもゆったりと話されるNさんの声をききながら、私の頭に浮かんだのは、ぐりとぐらのカステラ。
「わぁ、いいですねぇ。昔、ぐりとぐらのカステラにあこがれていましたが、波々のホットケーキもいいですねぇ」
と言ったら、
「ああ、覚えていますよ、ぐりとぐらのカステラ。
わたしもぐりぐらの絵本が好きで、あの本、子供に、よく読んでやっていました。」
「そうなのですか。わたしもよく読んでやっていましたよ。」
「歌のところがありましたよね。そこは、勝手にメロディつけて、歌ってましたよ。」
「え?Nさんもですか?わたしもですよ。
えーと、たしか、
♪ぼくらの名前はぐりとぐら
この世で一番好きなのは
お料理すること 食べること
ぐりぐら ぐりぐら ♪
あ、今でも歌えますね!」
もう何十年も絵本を開いていないのに、一言一句、ちゃんと覚えているなんて、歌ってすごいな、メロディってすごいな、と感激しながら電話を置きました。
その後、Nさんが歌っていたのはどんなメロディだったのだろう、と気になって、メールのついでに尋ねてみたら、
「それが、きなこさんが歌ってくれたのとまったく同じだったんですよ。
驚きました。以心伝心ですかね。」
と返信がありました。
以心伝心、と言ったって、Nさんと知りあう何十年も前の話です。
「57577、という短歌の定型は、言葉に力を持たせる魔法の杖」というようなことを歌人の俵万智さんがどこかに書いていらっしゃいましたが、逆に力ある文章も、俳句のように、短歌のように、同じメロディを導くのかな、と思ったりしました。
(写真、yama-p)(きなこ)
♪写真をクリックしたら、「あけびの実の熟れるころ」が流れます。https://www.youtube.com/watch?v=9Fy5TxG5sJU
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