パーキンソン病のお仲間には、芸術家が多くいらっしゃいますが、Aさんは、花を描く画家さんです。
ご本人は、カトレアや牡丹のように華やかで、文字通り「花」のある「奥様」なのですが、Aさんが描く花は、山辺や道端にひっそりと咲く野の花がほとんどです。
これは、若年患者のBさんからうかがったAさんのお話です。
先日のパーキンソンディの国会請願のために上京されたAさん。
Bさんと二人で、車がブンブン行きかう東京の街を国会に向かって歩いていらしたそうです。
Aさんは最近腰が曲がってこられたため、コロのついたオシャレなスーツケースを、手押し車代わりに持って歩いておられます。
横断歩道を渡るため、二人で信号待ちをしていたら、突然、Aさんが、くるりと向きを変えて、「ポピー!ポピー!」と叫び出されたそうなのです。
驚いたBさん。
いったい何事?!
車道にお尻を突き出したAさんは、Bさんの「どうされたんですか?」という問いかけには答えず、ただ興奮した声で
「ポピー!、ポピー!」
と繰り返すだけ。
いったい、どうしちゃったの、Aさん?!
理由がわからず、でも車道にせり出したお尻が行き交う車にぶつからないように、焦ってAさんのお尻を歩道に押し込んだBさん。
ホッとして、Aさんの視線の先を見て、ようやくポピーの意味がわかりました。
花のポピーでした。
別名、ひなげし。
信号待ちの歩道に、ポピーの花がひとつ咲いていたのです。
「だってねぇ、殺伐とした大都会に、ポピーが咲いていたのよ。けなげじゃないの」
とは、翌日、電話でお話ししたAさんのお言葉。
ドッキリ、そして胸をなでおろして、横断歩道を渡り終えたBさんでしたが、でもポピーって、たんぽぽのように種を飛ばす花なんですよね。
私も、道端に、間隔をおいて点々と咲くポピーを見たことがありますが、Aさんも、東京の街中に点々と咲くポピーを見つけるたびに、「ポピー、ポピー」と興奮し、周囲かまわず立ち止まり、そのたびにBさんは、ぶつかるんじゃないか、転ぶんしゃないかとハラハラ。
ついには
「もうオシマイですッ!遅刻しますよッ!」
と、親ほど年の離れたAさんを引きずって歩いたそうです。
奥様なんですけどねぇ、Aさん。
やはり、芸術家なんですねぇ。
そういうとこ、大好きですよ。
大笑いしたお話でした。
(絵、高嶋宏子さん)(きなこ)
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しゅうじ (月曜日, 22 4月 2019 20:40)
ポピーは目を引きますね。毎年、シャッターを押してしまいます 笑。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1118843554964728&set=pcb.1118843618298055&type=3&theater
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きなこ (火曜日, 23 4月 2019 00:28)
しゅうじさん、こんばんは♪
そうですか、ポピー、ご存知なんですね。
しゅうじさんのポピーの写真、よかったらぜひ見せてください。
わたしも、ポピーは好きな花です。
しゅうじ (火曜日, 23 4月 2019 06:07)
きなこさん、おはようございます。
コメントに貼り付けたリンク先は開けませんでしたでしょうか。であればまた別の方法でお送りしまーす。
空模様は下り坂のようにも見えますが、ご機嫌よう。