「秋に、息子が結婚することになったんよ。
息子には、もったいないようなお嬢さんなんやけど、そのお嬢さんを、あちらのお父さんがもの凄くかわいがっていらっしゃるんよね。
それで、お父さんが娘さんを思う気持ちを歌った歌を作ってくれへんかな?」
山口弁と大阪弁がミックスしたコトバで、元気さんの同級生Mさんから、そんな話をうかがったのは、春だったでしょうか。
嫁ぐ娘を思う父親の歌!
ブライダルソングには、「秋桜」とか、「バタフライ」とか、「てんとう虫のサンバ」とか・・・、すぐに思い浮かぶ名曲がありますが、「父から娘に贈る歌を作って」と言われて、ウーン、と頭を抱えてしまいました。
娘が結婚することになったお父さんの気持ちって、どんな気持ちなんだろう・・・。
結婚するお二人をお祝いする大切な歌です。
プレッシャー、プレッシャー。
漬物石のような、プレッシャー!
元気さんは、「家庭内工業」と言って笑うのですが、私たちは家にいて、分業制で歌作りをしています。
大体の分担は、縄文の人でもしていたようなアナログなことが私で、デジタルなことが元気さんの担当です。
それで、歌詞については私が作ることが多いのですが、私の場合、映画のように、頭の中のスクリーンに物語が映し出されはじめると、歌詞が出来上がります。
たとえば「金言寺」という比較的長い歌詞の歌があるのですが、これはパーキンソン病友の会島根県支部がお誘いくださった奥出雲の旅で、金言寺の700年のいちょうと話し上手な金言寺の坊守様のお話に感動して、帰って割合すぐに出来上がりました。
でも、娘が結婚するときの父親の気持ちって、どんなものなんだろう・・・。
これまであまり考えたことがありませんでした。
私も結婚しているのに、思えば、親不孝なことです。
唸っている私を見て、元気さんが、「こんな歌があったよ」とユーチューブから聴かせてくれたのは、吉幾三さんの「娘よ」。
吉幾三さん、元気さんも私も大好きで、特に「津軽平野」は、元気さんがカラオケでよく歌うのですが、聴くたびに、なんてすばらしい!一生に1曲、こんな歌ができたらなあ、と感動します。
東北に生まれ育ち、津軽の四季、津軽の暮らしの喜びや悲しみを知っている人でなければ作れない歌だなあ、と思います。
「娘よ」は初めて聴きましたが、きっと実際にお嬢さんが結婚されるときに作られた歌なんだろうな、と感じる情感溢れる歌でした。
でも。
元気さんの心遣いはありがたかったのですが、「娘よ」を聴いて益々、私には父から娘への歌は作れないんじゃないか・・・、と心細くなりました。
プレッシャー、プレッシャー。
隕石のようなプレッシャー!
結局、同級生Mさんが何度か送ってくださった両家のご家族や若いお二人のお写真、それから何より、「あちらのお父さんが、物凄く娘さんをかわいがっておられるんよ」という一言が頭の映写機を回す鍵になって、ストーリーが動きはじめ、歌詞が出来上がりました。
「尾道への小旅行の帰りの車中、新曲をずっと聴いてます。
泣いてしまいますね。
「大丈夫」というコトバが、私はお気に入りですよ!」
と、一昨日、Mさんからメールをいただきました。
気に入ってくださったんだ♪
よかった♪
ホッとして、安心して、とてもうれしかったです。
今回のプロモーションビデオは、2年前のJPC(日本パーキンソン病コングレス)で出会い、それ以来ずっとメールでの文通を重ねていたジュリエットさんにコラボをお願いしました。
ジュリエットさんは、おじい様も、お父様も、息子さんも写真をお撮りになる代々写真家御一家で、毎回メールにジュリエットさんが添付してくださる素敵な写真を拝見しながら、いつか私たちの歌とコラボさせていただけたらうれしいのだけど、と思っていました。
その願いも叶い、「花の道」は、私たちにとっても、二重にも三重にも大切な歌になりました。
若いお二人のスタートに、心からお慶び申し上げます。
(写真 ジュリエットさん)(きなこ)
以下をクリックすると、「花の道」をお聴きいただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=-omNwAtcrYw
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スミピー (土曜日, 24 8月 2019 19:30)
げんきなこさん、コメント失礼します。
「花の道」ほんと素敵な曲ですよね!
僕の不躾な質問にも真剣に向き合いご回答くださりその節は重ね重ねありがとうございました。
漬物石から隕石!?きなこさんらしいとってもユニークな表現に思わず顔がほころんでしまいましたが(笑)
そんなにもプレッシャーが高まるなかとっても素敵な歌詞を紡がれ、さらに元気さんとの「家庭内工業」により彩られ生み出された曲はMさんや新婚ご夫婦さんそのご家族の皆様にとってのウエディングソングというだけじゃなく、すでに単なる一ファンの僕にとっても脳内再生される度に優しい気持ちになれるハッピーソングとなっています。
この曲に限らずですが、ほんとげんきなこさんの曲はいつも金魚掬いのポイの薄紙のような繊細さを持ちながら、それでもフッと優しく確実に僕たち聴き手を掬って(救って)くださるようなそんな気持ちになるものばかりだから不思議です。
「花の道」
これからも大切に聴かせていただきますね。
きなこ (土曜日, 24 8月 2019 23:01)
スミピーさん、こんばんは♪
わたしたちこそ、アドバイスをありがとうございました!
とてもありがたかったです。
それから、今回のコメント文中の「ポイの薄紙のような繊細さ」も、いい表現ですねえ。やはりスミピーさんは詩人ですね。
「花の道」を、Mさん一家にとってのウエディングソングだけじゃない、スミピーさんにとってもハッピーソング、と表現してくださったことは、感激の極みです。
そのように聴いてもらえる歌だということ、「花の歌」は、なんてしあわせな歌なんだろうと思います。
ありがとうございます!