今日、Nishikoriさんがご本を送ってくださいました。
本多昭人著「ふたたび出会う世界があるから お坊さん、癌を生きる」(本願寺出版社)という本です。
本多昭人さまは、島根県雲南市を見渡す高台に建つ成福寺という美しいお寺の先代のご住職様でいらっしゃいました。
昨年2月11日、癌との長い闘病の末、68歳で亡くなられたお方です。
ご住職さまと私たちのご縁については、以前、このブログに書かせていただきました。
一昨年、げんきなこの歌をお聴きくださったご住職さまから、成福寺でコンサートをしてくれませんか?とNishikoriさんを通じてご連絡をいただいたのがご縁のはじまりでした。
その後、私たちのCDをお送りさせていただいたり、文筆家で何冊かのご本も出版なさっているご住職さまの著書をお送りいただいたり、それからメールやお手紙を通して、心の交流がはじまりました。
ご本を読ませていただいて、ご住職様が浄土真宗の教えに真摯に向き合い、心をこめて布教活動をなさってきたことを知りました。そして手術のできない癌と闘っていらっしゃることも知りました。
ご住職さまのお心の豊かさ、心根のやさしさ深さを感じ、ご住職さまのお話をもっともっと聞かせていただきたい、という気持ちはとても強かったのですが、癌患者でいらっしゃるご住職様がどのような毎日をお過ごしなのか、どのくらいしんどくていらっしゃるのかわからず、ご迷惑をおかけしたくないという遠慮の気持ちから手紙もメールも間遠にしかできませんでした。
本多ご住職さまからは、お会いした翌年の4月、つまり昨年4月のお花まつりでコンサートをお願いします、とお手紙が届きました。
でも、コンサートの2か月前、昨年の2月11日、ご住職様はお亡くなりになり、私たちはついに、この世でご住職様にお会いすることが叶いませんでした。
今日届いたご本は、ご住職様が亡くなる数か月前まで本願寺津村別院の月刊誌に連載なさっていたエッセイが好評で、今年2月16日に出版されたものです。
エッセイは、癌が再発して2年後の2015年4月からはじまり、わたしたちが出逢わせていただいた2018年を経て、2019年3月号で自ら連載を終了なさっています。
Nさんが送ってくださったご本を、手を洗い、姿勢を正し、ページをめくりました。
左手にたまっていたページが、読み進むに従い、右ページにたまっていきます。
それがそのまま本多ご住職様の人生の残り時間だと気が付いたときは、手が止まりました。
左手が持つページがとても薄くなったころ、ご住職さまとわたしたちが出会った期日が現れました。
ご住職様がご本にげんきなことの出会いのこと、また元気さんの考えた「しあわせ量保存の法則」についてお書きくださっていたのは、最後から数えて3番目のエッセイでした。
皆さんに法を授ける立派な方が、私たちのような未熟な者をあたたかくうけとめてくださっていることに、ただ頭を下げる気持でした。
私の机の上には、今も本多ご住職さまが送ってくださった今年の2月で終わってしまったカレンダーと匂い袋、それからご住職様がきれいな直筆で書いてくださった年賀状が置いてあります。
年賀状には、「年末に退院できました。4月のイベント、楽しみにしています」とお書きくださっていました。
今、こうしてご住職様がお書きくださった文章を書きうつしながら、「4月のイベント、会えるのをたのしみにしています」ではなく、「4月のイベント、たのしみにしています」とお書きくださっていることに初めて気が付きました。
亡くなった後、この年賀状のことを思い出し、ご住職様は、4月まではきっと大丈夫と思っておられたのだろう、と思っていましたが、会えないかもしれないと思っておられたのかもしれないと、初めて気が付きました。
一文字の誤植をそのままにしない、誠実なお人柄の方でした。
昨年の4月、ご住職様のおられないお寺で、お花まつりコンサートをさせていただいたとき、終わった後Nishikoriさんが、「成福寺の天井の高いところから、ご住職様がニコニコしながらご覧くださっているような気がしました」と言ってくださったことを覚えています。
ほんとうにそうだったかもしれないと、今、そう感じています。(きなこ)
コメントをお書きください
Nishikori (日曜日, 08 3月 2020 18:21)
こんにちは。ご住職さまの本をブログに取り上げていただき、ありがとうございます。私もげんきさんと同じ病気を抱えていまして、げんきさんと趣味の方向性こそ異なるものの、”Genki be good.”に励まされながら、我が道を邁進しています。
我が道の趣味の一つは、PCです。今私の唯一のパソコンはHDDをSSDに換装しようとしておりまして、クローン化とドライブのパーテーションの作業中につき操作できません。本当はごえんげさんの仏前に、このブログの内容をお届けしようと思ったのですが、それさえもできない現状です。でもごえんげさんならそれも空からお見通しなのかもしれないなぁと思ったりして、(あわてずにゆっくりやってくださいね。)とお声が聞こえてきそうな気がします。成福寺の周りにも河津桜の蕾が開く季節がもうすぐやってきます。お出でいただいてからもうすぐ1年になるんですね。また、出会いと別れの月がやってきました。
きなこ (日曜日, 08 3月 2020 18:40)
Nishikori さん、コメントをありがとうございます。そしてあらためましてご本を送ってくださりありがとうございました。命がけ、という言葉がありますが、このご本はご住職様が一章一章命と向き合いながらお書きになったことが感じられる研ぎ澄まされた、でもあたたかいご本でした。読み終わり、やはり涙が溢れました。生前、ご住職さまの大切な時間をいただき、あたたかいお気持ちをいただきました。お会いしたかったと思いました。
N (日曜日, 08 3月 2020 23:41)
次回近辺にお越しの際は、是非お墓参りしましょう。昨年は大切な方々とおわかれしましたので。
きなこ (日曜日, 08 3月 2020 23:47)
そうですね。その折はぜひご一緒にお願いいたします。