両親と待ち合わせをしました。
実は昨日も軽自動車に乗って、二人で島から来てくれました。
「ハスとタケノコ、いらんかね?」
「いるいる!」
というので、我が家まで来てくれたのですが、「ハスとタケノコ」以外の玉ねぎ、クロッカスの花束など、たくさんのものを車に積んでやって来た両親は、肝心の「ハスとタケノコ」を忘れて、再度、今日の待ち合わせになりました。
一時間以上かかる我が家まで、高齢の両親を連日来させるのは、さすがに気がひけて、真ん中あたりのお店の駐車場で待ち合わせをしました。
またも「ハスとタケノコ」以外のたくさんのものと一緒にやって来た両親は、今度は「ハスとタケノコ」も忘れずに持ってきて手渡してくれました。
しばらく立ち話して、「お互い、コロナに気をつけようね」「車に気をつけて帰ろうね」と言って別れた両親の車の後ろ姿を見送っていると、父が運転する軽自動車のワイパーがひらひらと手を振るように動き始めました。
あれは、バイバイ、の合図なのか、それとも父の誤操作なのか。
日本みんなが貧しかった時代に育ち、つましく暮らしてきた両親は、間が抜けた娘とは違って、落ち度がない人でした。
ワイパーの動いた理由が無性に気になり、帰り際、フロントガラスから見上げるやさしい春の青空と満開を少し過ぎた桜に胸が痛くなり、ワイパーがゆらゆらしながら角を曲がった両親を乗せた軽自動車の後ろ姿が、しきりに思い出されます。
(写真 yama-p)(きなこ)
コメントをお書きください